森友学園に関する公文書の改ざんを指示され自殺した財務省職員の妻が、文書の開示を求めて起こした裁判の控訴審で、あらたな展開です。
国は「捜査への支障」を理由に文書が存在するかどうかも答えない「ゼロ回答」を続けていますが、この国の主張について、元検事で東京地検特捜部での捜査経験もある”捜査のプロ”郷原信郎弁護士が、「捜査への支障はない」として全面的に否定する意見を述べました。
財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫さん(当時54)は学校法人「森友学園」に関する公文書の改ざんを指示され、うつ病を発症して自殺しました。
夫はなぜ、自ら命を絶たなければならなかったのか。それを知るために妻の雅子さんは国に対し、「森友問題」の捜査に関する資料を開示するよう求めています。
■提出された資料には改ざんの経緯が記録されている可能性
大阪地検特捜部は当時、豊中市の国有地を森友学園に8億円以上値引きして売却した問題と、関連する公文書を改ざんした問題について、財務省や近畿財務局を捜査していました。
この捜査の過程で提出されたとみられる書類やデータには、財務省の幹部らがどのようなプロセスを経て公文書の改ざんを決め、赤木さんに指示を出したのかが記録されている可能性もあります。
そのため雅子さんは、財務省と近畿財務局に対し、特捜部に提出した資料の開示を求めましたが、「あるかないかも答えない」という“ゼロ回答”だったため、この決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴しました。
■「公開すれば捜査の手法などが分かる恐れ」と棄却
しかし去年、大阪地裁は「文書を公開すれば捜査の手法などが分かる恐れがあり、同じような事件や行政機関が対象となる事件で、将来の捜査に支障が及ぶ恐れもないとは言えない」などとして、雅子さんの訴えを棄却しました。
これを不服として、雅子さんは控訴。大阪高裁での裁判が続いています。
今回、雅子さん側の弁護団は、元検事で東京地検特捜部での捜査経験もある郷原信郎弁護士に証言を依頼。郷原弁護士は弁護団の質問に応じる形で、書面で意見を述べました。
■「将来の捜査の手法や内容が推知されることは全くない」と郷原氏
郷原弁護士は「行政機関の事件の捜査では関連する資料を洗いざらい提出させることが一般的で、捜査の方針は検察官によって異なる」「検察が任意提出を求めた文書についての情報が明らかになることで、将来の捜査の手法や内容が推知されることは全くなく、証拠隠滅のおそれを捜査機関側が懸念することもない」と指摘し、国側の主張を真っ向から否定しました。
事件捜査に精通する元検事の意見に対し、今後、国側がどのように反論するのか注目されます。
(『開示は「捜査に支障ない」と郷原氏 元特捜検事が国の主張を全面否定 赤木さん「森友」文書裁判で』関西テレビ)
郷原信郎氏)
私自身の検察捜査の経験から「間違いなく言えること」を意見書にまとめて、赤木雅子さんに提供しました。⇒【開示は「捜査に支障ない」と郷原氏 元特捜検事が国の主張を全面否定 赤木さん「森友」文書裁判で】(関西テレビ)
(Xアカウントより)